テラメントを阻止できなかった、金融庁の失敗
●新聞記事
読売新聞1月28日(月)
「株大量保有」のテラメント社、監視委が虚偽報告で立件検討
金融庁の電子開示システム「EDINET(エディネット)」に、トヨタ自動車など上場企業の株式を過半数取得したとする虚偽の大量保有報告書が登録された問題で、証券取引等監視委員会は28日、システムの穴を突いた悪質な行為と判断、金融商品取引法違反(虚偽報告書の提出)容疑での立件に向けて調査を始めた。
今後、警察当局と協議したうえで最終判断する。
金商法違反の疑いが浮上しているのは、「テラメント」(川崎市麻生区)の社長。登記簿によると、同社は2007年11月2日の設立で、事業目的はITシステムの開発、製造及び販売と企業の買収及び買収した企業の経営と記載されている。
テラメントは今月25日午後4時12分ごろ、トヨタ自動車、NTTなど6社の株式について、「発行株式の51%を取得した」と記した報告書をEDINETに登録した。
金融庁は調査のうえで報告書の内容は虚偽だったと認定。27日にテラメントに対して報告書の訂正命令を出したが、テラメント側は訂正報告書などの提出に応じていない。
●失敗の記録
P(plan):「EDINET(エディネット)」とは?
EDINET(エディネット、Electronic Disclosure for Investors' NETwork)とは、金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システムの名称である。
金融庁から行政サービスの一環として提供されているシステムで、企業などから提出された金融商品取引法に規定される開示書類をWeb上で閲覧できる。
D(do):「EDINET(エディネット)」の運営状況
2005年に話題となったライブドアによるニッポン放送買収に際して、その存在が広く知られるようになったが、当時は電子データで申請があった書類のみの開示であり、書面で提出されたものは閲覧する事が出来なかった。
書面で提出された書類に関しては、各財務局(主に関東財務局)などで閲覧請求するしか方法が無く情報を入手するのが難しい状況で、投資家が投資動向に関わる重要な情報を入手出来ない状態になっていたが、ライブドアや村上ファンドなどの行動により注目を浴びた事から、これらが改められ、書面提出の書類に関しても当日中か翌日には閲覧が可能となった。
書面提出の書類はスキャナなどで電子データ化されPDF形式で閲覧できる。
C(check):性善説に立ちすぎ、チェック機能が働かなかったのではないか?
テラメントの一件は、佐藤金融庁長官がコメント(ロイター1月28日)したように開示の迅速性の観点から、事前審査は難しいという考えもあるが、まだ終わってないものの、今回は市場に与える影響がほとんどなかったからといって、必ずしも軽微であったとはいえない。
性善説に立ちすぎた制度は、チェック機能が働かないと、市場の信頼性を失うことにもなりかねない。
A(action):金融庁の対応
これもロイター(1月28日)から引用すると、
「金融庁の佐藤隆文長官は28日の定例会見で、・・・問題で、再発防止や取引時間中に開示された場合の危機管理の対応を検討するチームを立ち上げることを明らかにした。」
27日にはテラメントに対して金融庁は、大量保有報告書の訂正命令を発出しているほか、今後の同様の事案に備え、上記のようなチームで対応策を検討することとしたらしい。
今回の金融庁の素早い対応は、ある程度評価できるにしても、「EDINET(エディネット)」の立ち上げ時にこのような虚偽報告について、予見できなかったのか、疑問は残る。このシステムについて、法人の認証など技術的な問題をクリアにしてきたとはいえ、「善人」による報告のみを前提としてきたら、モラルのない者が市場に参加することはライブドア等の最近の事案でも明らかであり、あまりにも無防備だったといえる。
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